私が好きな曲の一つ。
J・S・バッハの
「半音階的幻想曲とフーガニ短調」BWV903。
鍵盤上を自由自在にフレーズが動き回る美しい曲です。
いわゆるドレミファソラシドは全音階。
これはオクターブを7つの音で分けた音階のこと。
半音階というのは半音ずつの音階。
1オクターブを12音に分けています。
半音階は、
英語ではクロマチック(chromatic)
ドイツ語だとchromatischeと表現します。
つまり「色彩的」という意味です。
日本語の音楽用語も、
この「半音階的」を「色彩的」
と訳した方が良かったのではないかと
時々思います。
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私たちがしゃべる言語を「理性言語」と言い表すことがあります。
それに対して音楽は「感性言語」と言います。
言葉ははっきりそのものを指すことが出来るので、
私たち人間のコミュニケーションにとって
なくてはならないものです。
でも、言葉では表現しにくいことってありませんか?
「悲しい」と「淋しい」の中間のような感情とか、
「赤」と「朱色」のその中間あたりの色とか。
色彩や音は、
言葉に表現しきれないような
微妙な表現をすることが出来ます。
西洋音楽では、1オクターブの
12分割が一番細かいのですが、
アラブの音楽では、
半音の半音まで使います。
日本のお琴の「押し手」(左手で弦を押さえて半音上げる技法)では、
その経過中の音も味わいます。
音楽の表現、
その幅はとても広く、
無限にあると言っても
良いのではないでしょうか。
2019/10/21